mokomokorabitsの日記

ハイヒールやフレアスカートが似合う女性を目指したい

10年経っても染みるQ10

今週のお題「もう一度見たいドラマ」

 

今からちょうど10年前に放送されていた、Q10というドラマが大好きだった。

学園もののドラマで主人公は高校3年生で、当時小学6年生だった私は、「高校生ってこんな感じなんだなあ」と数年後の高校生活を想像しながら毎週楽しみに観ていた。

 

何が好きだったのかと言われるとうまく説明できないけど、前田敦子さん演じるロボットが未来からやってくるという奇天烈な設定の割に、劇的な出来事があるわけでもなく淡々と進んでいく空気感がよかった。

とんでもなく残酷なわけでも、救世主が現れるわけでもない、

出てくる大人がかっこいいんだよなー。担任の先生とか、校長先生とか、両親とか。

 

あと、このドラマはキャスティングが素晴らしかった。生徒役で当時名が売れていたのは佐藤健前田敦子ぐらいだったけど、10年経った今役者として活躍しているひとがたくさんいた。蓮佛美沙子高畑充希賀来賢人柄本時生、そして何より池松壮亮。当時キャストを決めたスタッフは素晴らしい見る目を持っていたと思う。私が偉そうに語ることでもないけど。

見ていた当時は12歳で、よくわからないけど面白いから見ている側面が大きいかったけど、歳をとるほど、思い出して身に染みる言葉が多くて、いいドラマだったなと思う。

 

「データならあります。同じだけど違います。」

「死ぬほど考えること。」

「先生もクラスの人もみんな知ってるよ。でもみんな知らんぷりしてくれる。それって優しいのかな、それとも冷たいのかな」

それに対しての、「たぶん、どっちもだな」。

「死ぬほどほしいものがあるっていうのはさ、まだまだ生きるぞってことなんだよ」

「信頼できる大人を一人見つけたら、それはもう成功したようなもんだ」

「あの校門の坂道を、久保君と歩くんだ」

 

印象に残ってるシーンもセリフもたくさんあって書ききれないけど、私は、本でもドラマでもなんでも、「世の中、最高でもないけどそんなに悪くもないよね、しゃーない、生きるか」って思わせてくれる作品が好きだ。Q10の脚本を書いた木皿泉さんの作品はそういうものが多くて好き。抽象的な表現になってしまうけれど、「めっちゃいい!」や「最高!」という感情も、もちろん救いにはなるけど、勉強でも仕事でも人間関係でも、何とか前に進むために必要なのは、「悪くない」と思えることじゃないかな、と思う。

 

あのドラマで、初めて池松壮亮という俳優を知った。あの時の池松壮亮はまだ20歳そこそこで、つまり今の私と同じ年くらいかなんなら年下だったわけで、その上で思い出すとさらにそのすごさを実感する。演技自体はめっちゃ上手ってわけじゃなかったけど、あの何とも言えない哀しみの表現に引き込まれた。病気で長期入院してて、高校も留年して、悔しくて不安で仕方ないはずなのに、優しく落ち着いていて、自分に酔って悲観しているわけでもないのに、哀しくて仕方がない。笑っているのに哀しくて見ていて切なくて苦しい。あの久保君は本当に、優しくて哀しくていい役だった。あのドラマを見て、私は池松壮亮のファンになった。今や年に何本も映画に出演する人気俳優の池松壮亮を、10年前から好きでいたことは、ちょっとした私の自慢だ。

 

また10年後にQ10を見たら、違った感想になるのかなあ。

10年後にもQ10を見たいから、10年は頑張ってなんとか生きたい。

10年後の想像はまったくつかないけれど、でもリアルタイムでQ10を見てた時も、10年後なんて来ると思ってなかった。大学生になってる自分なんて想像できなかった。でもあっという間だった。だから次の10年もきっとあっという間なんだろうな。