妹
地味な見た目で、服装や髪型はいつも「無難」を選ぶ私。
色が白くて目が大きくて、はっきりした顔の、お洒落な妹。
大学3年生になってやっと、化粧を覚えた私。
高校生にして、私より大きなメイクポーチを持つ妹。
昔からなんとなく、同じものを親に買ってもらうときは、私は水色で、妹はピンク。
聞き分けが良くて、親の顔色をうかがう癖のある私。
わがままで奔放で、でも可愛がられる末っ子の妹。
そんなに悪い子じゃなかったはずなのに、しょっちゅう母に叱られた私。
かえって面倒だからと、母が途中で叱るのも諦めた妹。
地元の進学校に通って、勉強に追われていた私。
名古屋の高校に通い、私よりいい時給でバイトにはげむ妹。
中学のバレー部では、ベンチメンバーで応援担当だった私。
同じ中学のバレー部でセッターを務め、郡大会優勝を経験した妹。
これといって情熱を注ぐ趣味のない私。
好きなアーティストを追いかけ、部屋をポスターとグッズで埋め尽くす妹。
私が受験生の時、勉強してる隣で音楽を聴くのをやめない妹と何度も喧嘩した。
私にないものをたくさん持っている妹。
それなのに、何かと私をうらやましがる妹。
私より可愛くてモテるのに、私を見下したりはしない妹。
私が帰省すると、一緒に遊びに行こうと言う妹。
カラオケは、私のほうが少しだけ上手い。
小さいころは、妹のほうが可愛いから、親も妹に甘いんだと思ってた。
妹のことがずっと羨ましかった。
向こうは向こうで私のことを羨ましがってるなんて、皮肉。
でも、幸せになってもらわないと困る。