2か月ぶりの
以前、「いま会いたい人」というお題で、同じ研究室の同期の子のことを書いた。
週刊はてなブログで言及していただき、思ったよりも多くの人に読んでもらったようで、恥ずかしかったけど嬉しかった。ありがとうございました。
その同期の子を、ここではK君と呼びたいと思う。
今日から、長時間の滞在は禁止という条件付きながら、大学への立ち入りがほぼ全区域で許可された。つまり、研究室にも入れるようになった。
午前中に宅配便を指定していたので午前は家にいたのだけど、午後からは研究室に行こうと決めていた。
図書館に寄り、借りていた本を返却し、研究室に向かった。2か月ぶりの研究棟、長い廊下、その突き当りの部屋。いつもの部屋のドアのノブに手をかけたとき、少し緊張した。空いていればおそらくK君は来ている。鍵がかかっていれば来ていない。2か月前からいつもそうやってK君が来ているかどうか判断していた。
思い切ってドアを押すと、開いていた。
部屋をのぞくと、K君の姿はなかったけど、彼のリュックや文房具や参考書類が置いてあった。
K君も真っ先に来ていた。
思っている以上に自分がそのことを喜んでいて自分で驚いた。2か月ぶりに見るリュックがなんだかすごく嬉しかった。選んでいる椅子の場所や持ち物でK君が来ているとわかるくらいには、2か月前までほぼ毎日私とK君はその部屋を使う常連だった。
束の間のあと、K君が部屋に入ってきた。飲み物か何かを買いに行っていたらしい。
おお。とお互い言った。久しぶりだね、2か月ぶりだね。もう6月も半分だね。
少しそんな言葉を交わした後は、お互いの勉強などそれぞれのことをやって、無言の時間が続いた。
窓の外は明るくて、最後に来たときよりも太陽のエネルギーが強くなっている気がするし、見える緑も濃くなっていて、初夏であることを実感した。でも、K君が座る席も私が座る席も2か月前と同じで、大学立ち入り禁止の期間中はすごく長く感じたのに、本当に2か月も来てなかったっけ?と思った。
久しぶりに話したいな、と思いながら、K君は試験に向けて勉強しているし悪いかな、と思って話しかけなかった。でも、教授が帰り際に部屋に顔を出して、「学務にとがめられん程度の時間に帰れよ」と声をかけていったのがきっかけになって、結局その後小一時間、K君としゃべった。
この2か月何してたか。他の研究室のメンバーは何してるのか。卒論の進捗具合はどうか。K君の公務員試験の日程が延期になったこと。私の就職活動は終わったこと。最近よく散歩してること。大学受験のときの思い出話。今日久しぶりに新聞を読んだ話。最近蒸し暑いねという話。
春休みに入ったころはこの部屋は暖房つけてたのに今はもう冷房で、お互い半袖。
大した話はしなかったけど、その大したことなさが嬉しくて、懐かしかった。当たり前だけど、2か月前と同じで、K君は淡々と面白かった。
いや、当たり前じゃないんだよなきっと。
私が帰るとき、K君はもう少し勉強していく、と言っていた。
偉いなあ。
久しぶりに話せたのが嬉しくてつい話し込んでしまって、迷惑だったかなとまた後悔した。同じような反省をもう何度もしている。
私が今日K君と話せて嬉しかったのと同じような気持ちでK君もいてくれたらいいのに。
私の好きなMr.Childrenさんの曲で、「常套句」という歌があるのだけど、そのYouTube
のコメント欄の、いつか見た誰かの言葉がなぜか印象に残っている。
「世の中誰かに会いたいやつばっかりだな。会いたいけど会えないんだな、みんな」
今日は、会いたかった人に会えていい日だった。